栃木県宇都宮市の中心部、明神山(臼ヶ峰)の山頂に鎮座する宇都宮二荒山神社(うつのみやふたあらやまじんじゃ)。地元では「二荒さん(ふたあらさん)」の愛称で親しまれ、約1,600年の歴史をもつ下野国一之宮です。
延喜式神名帳に「名神大社」として記載された栃木県唯一の名神大社であり、宇都宮という地名の由来にもなったとされる格式高い神社です。大通り沿いにそびえる大鳥居から95段の石段を上がると、街の喧騒を忘れるような静寂の杜が広がります。
御祭神の豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)は武徳の神として名高く、源頼朝や徳川家康といった武将たちも戦勝祈願に訪れました。勝負事のご利益をはじめ、境内の12の末社ではさまざまな願い事に対応しており、宇都宮を代表するパワースポットとしても知られています。
宇都宮二荒山神社の基本情報
まずは参拝前に押さえておきたい基本情報を整理します。
| 正式名称 | 二荒山神社(通称:宇都宮二荒山神社) |
|---|---|
| 読み方 | ふたあらやまじんじゃ(うつのみやふたあらやまじんじゃ) |
| 所在地 | 〒320-0026 栃木県宇都宮市馬場通り1丁目1番1号 |
| 電話番号 | 028-622-5271 |
| 御祭神 | 豊城入彦命(とよきいりひこのみこと) |
| 相殿神 | 大物主命(おおものぬしのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと) |
| 社格 | 延喜式内社(名神大社)論社、下野国一之宮、旧国幣中社、別表神社 |
| 神紋 | 三つ巴(菊に三つ巴) |
| 例大祭 | 10月21日(秋山祭) |
| 開門時間 | 午前6時~午後9時(※変更の場合あり) |
| ご祈祷受付 | 午前8時30分~午後3時50分 |
日光の二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)と区別するため、鎮座地名を冠して「宇都宮二荒山神社」と呼ばれています。古くは「宇都宮大明神」「お明神さま」とも称されていました。
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宇都宮二荒山神社の歴史と由緒
宇都宮二荒山神社の創建は、第16代仁徳天皇の御代まで遡ります。毛野国が上野国と下野国に分かれた際、御祭神・豊城入彦命の四世孫である奈良別王(ならわけのきみ)が下毛野国の国造に任命されました。このとき、祖神である豊城入彦命を荒尾崎(現在の下之宮の位置)に祀ったのが始まりとされています。
その後、承和5年(838年)に現在の臼ヶ峰に遷座。延長5年(927年)に完成した延喜式神名帳には「下野國河内郡一座大 二荒山神社 名神大」と記載されており、栃木県内で唯一の名神大社に位置づけられました。
「下野国一之宮」としての格式から、「いちのみや」が訛って「うつのみや」となり、宇都宮の地名が生まれたという説が広く知られています。ほかにも「移しの宮」が転じた説、「現宮(うつつのみや)」に由来する説など諸説あります。
幾度もの火災と再建の歴史
二荒山神社は歴史の中で何度も火災に見舞われてきました。近世以降だけでも天正13年、安永2年、天保3年、そして明治維新の戊辰戦争と4度の焼失を経験し、貴重な古い記録のほとんどが失われています。慶応4年(1868年)の戊辰戦争では、土方歳三ら旧幕府軍がこの神社を拠点に宇都宮城攻防戦を繰り広げたことでも知られます。現在の社殿は、戊辰戦争後の明治10年(1877年)に再建されたものです。
武将たちが崇敬した武徳の神
御祭神の豊城入彦命は、第10代崇神天皇の第一皇子にあたり、東国を鎮めた人物として古事記に記されています。武徳に優れた神として、藤原秀郷・源頼義・源義家・源頼朝・徳川家康など、時代を代表する武将たちが戦勝祈願に訪れ、社殿の改築や寄進を行ったと伝えられています。
平将門の乱では、藤原秀郷がこの神社で授かった霊剣をもって将門を討ったとされ、『平家物語』では那須与一が屋島の戦いで扇の的を射る際に「宇都宮」の名を唱えて祈ったという記述もあります。
宇都宮二荒山神社のご利益
宇都宮二荒山神社は、御祭神の性格から勝負事・開運のご利益が特に有名です。加えて、相殿に祀られている大物主命(大国さま)と事代主命(恵比須さま)は商売繁盛や福徳のご利益で知られ、幅広い願い事に対応しています。
本社のご利益に加え、境内にある12の末社にもそれぞれ異なる神さまが祀られているため、多彩なご利益を一度の参拝で得られるのも大きな魅力です。
境内の末社とそれぞれのご利益
大鳥居から95段の石段を上がる途中や、本殿の周辺に12の末社が点在しています。主な末社のご利益は以下のとおりです。
| 末社名 | ご利益 |
|---|---|
| 菅原神社 | 学問成就・合格祈願 |
| 剣宮 | 武道上達・勝負運 |
| 市神社 | 商売繁盛 |
| 女体宮 | 安産・子宝(祭神:三穂津姫命) |
| 須賀神社 | 厄除け・疫病退散(祇園信仰) |
| 初辰稲荷神社 | 商売繁盛・五穀豊穣 |
| 東照宮 | 開運・出世(祭神:東照大権現) |
石段の途中に6社、本殿付近に残りの末社が配置されているため、参拝の順路で自然に巡ることができます。
お守りの種類と特徴
宇都宮二荒山神社では約43種類のお守りを受けることができます。交通安全、学業・仕事、勝負事、身体健全・厄除け、開運など、ご利益のジャンルも豊富です。
人気のお守り
特に注目したいお守りを紹介します。
- 必勝守り:キーホルダータイプで日常的に身につけやすく、受験や試合前の勝負事に人気
- 縁結び守り:恋愛成就・良縁祈願のお守りとして参拝者に人気が高い
- 黄ぶな守り:宇都宮の郷土玩具「黄ぶな」をモチーフにした無病息災のお守り。疫病退散の伝説に由来する
- 交通安全守り:車のお祓いとセットで受ける方も多い
- ペットお守り:ペットの健康を願うお守りも用意されている
- スポーツ守り:スポーツの上達と安全を祈願したお守り
「黄ぶな」の伝説
宇都宮市には、かつて天然痘が流行した際、市内を流れる田川で黄色いフナが釣れ、病人がその身を食べたところ病が治ったという「黄ぶな伝説」が伝わっています。以来、張子の黄ぶなは宇都宮を代表する郷土玩具となり、二荒山神社の授与品にもこの黄ぶなをモチーフにしたお守りや御朱印が取り入れられています。
御朱印・御朱印帳情報
宇都宮二荒山神社では、社務所の受付で御朱印をいただくことができます。通常の御朱印のほかに、相殿の福の神をデザインした特別な御朱印も頒布されています。
御朱印の種類と初穂料
| 御朱印の種類 | 初穂料 | 備考 |
|---|---|---|
| 通常御朱印 | 500円 | 社名と参拝日が記された基本の御朱印 |
| 福の神御朱印 | 1,000円(2枚1組) | 大物主命(大国さま)と事代主命(恵比須さま)の姿が描かれた御朱印 |
| 特別御朱印 | 要確認 | 季節や行事に合わせて限定頒布。黄ぶなデザインなど |
特別御朱印は不定期で頒布されるため、最新情報は神社の公式X(旧Twitter)アカウントで確認するのがおすすめです。書き入れ(直書き)と書き置きの両方に対応しています。
オリジナル御朱印帳
宇都宮二荒山神社ではオリジナルの御朱印帳も頒布しています。大鳥居と神紋の三つ巴(菊に三つ巴)がデザインされたもので、色違いの2種類が用意されています。初穂料は2,000円(御朱印代込み)です。御朱印帳を新しく始めたい方にもちょうどよい一冊です。
おみくじ・餃子おみくじ
宇都宮二荒山神社では、通常のおみくじに加えて、宇都宮ならではの「餃子おみくじ」が人気を集めています。餃子の種類ごとに異なるご利益が設定されており、参拝の楽しみのひとつになっています。
- 水餃子:学業成就
- 焼き餃子:金運上昇
- 翡翠(ひすい)餃子:厄除健康
- 胡麻餃子:運気上昇
- 海老餃子:恋愛成就
餃子の街・宇都宮ならではの遊び心あるおみくじなので、参拝記念にぜひ引いてみてください。
境内の見どころ
大鳥居
大通りに面して建つ大鳥居は、高さ約9.7メートル、柱の直径約90センチという堂々たるサイズです。柱には樹齢約400年の栃木県産ケヤキが使われており、市街地に突如現れるその存在感は圧巻です。
95段の石段と参道
大鳥居をくぐると、神門・拝殿・本殿へと続く95段の石段が始まります。石段の途中には6つの末社が鎮座しており、一社ずつ手を合わせながら上がっていくのも参拝の醍醐味です。石段の両脇には桜や松、サルスベリなどの木々が茂り、季節ごとに違った表情を楽しめます。
明神の井
初辰稲荷神社の近くにある「明神の井」は、宇都宮の名所「七木七水八河原」のひとつに数えられる湧水です。明治天皇が行幸された際に、この水を茶の湯に使用したと伝えられています。
初辰稲荷神社
拝殿の左奥に位置する初辰稲荷神社は、赤い鳥居が10基以上連なる印象的な風景が特徴です。商売繁盛・五穀豊穣の神として信仰されており、本殿参拝の後に立ち寄る方が多く見られます。
年間行事・お祭り
宇都宮市の多くの祭りが二荒山神社を起源としており、年間を通じてさまざまな行事が行われています。代表的な行事をまとめました。
| 時期 | 行事名 | 内容 |
|---|---|---|
| 1月1日~ | 初詣 | 栃木県内でも有数の初詣スポット。正月授与品の頒布あり |
| 1月15日 | 春渡祭(おたりや) | 神輿の渡御と田楽舞の奉納。正月飾りのお焚き上げも実施 |
| 1月・5月・9月 | 神楽奉納 | 江戸時代中期から続く伝統の神楽(宇都宮市指定文化財) |
| 7月 | 天王祭 | 須賀神社の祭礼として盛大に開催 |
| 10月21日 | 秋山祭(例大祭) | 年間で最も重要な祭典 |
| 12月15日 | 冬渡祭(おたりや) | 古いお札やダルマなどのお焚き上げ |
おたりや(春渡祭・冬渡祭)では、お焚き上げの煙を頭にあてると家内安全・無病息災・火災防止のご利益があるとされ、夜遅くまで多くの参拝者で賑わいます。この祭礼の起源は承和5年(838年)の遷座の儀式にまで遡り、古くは「渡り夜」と呼ばれていたものが訛って「おたりや」になったと伝えられています。
アクセス方法
宇都宮二荒山神社は市街地の中心に位置するため、公共交通機関でも車でもアクセスしやすい立地です。
電車・バスでのアクセス
- JR宇都宮駅西口からバスで約5分、「馬場町(二荒山神社前)」下車、徒歩すぐ
- JR宇都宮駅から徒歩で約15~20分
- 東武宇都宮駅から徒歩で約10~15分
車でのアクセス
- 東北自動車道「宇都宮IC」から約20分
- 東北自動車道「鹿沼IC」から約25分
- 北関東自動車道「宇都宮上三川IC」から約25分
駐車場情報
神社に隣接する立体駐車場(約300台収容)が利用できます。料金は以下のとおりです。
| 利用区分 | 料金 |
|---|---|
| 通常利用 | 60分300円(最大12時間1,500円) |
| ご祈祷を受ける場合 | 3時間無料 |
初詣や祭事の日は周辺道路を含めて大変混雑するため、公共交通機関の利用や早朝の参拝がおすすめです。車祓い(交通安全祈願)を受ける場合は、立体駐車場の坂を上がった先にある車祓所に車を停めてください。
参拝時の注意点とマナー
快適に参拝するために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
- 95段の石段はやや急なため、歩きやすい靴での参拝が安心です。石段以外のルートもあるため、足腰に不安がある方はそちらを利用できます
- 御朱印は社務所内の受付で対応しています。混雑時は待ち時間が発生する場合があるため、時間に余裕をもって訪れると安心です
- 境内での出張カメラマンによる商業撮影は禁止されています。初宮詣や七五三などの記念撮影は、社務所内のスタジオ(シンガイ写真)の利用が案内されています
- お焚き上げに持ち込めるものは、神札・お守り・おみくじ・縁起物・神棚など神社で受けたものに限られます。人形・結納品・仏具・日用品・不燃物などは受付不可です
周辺の観光スポット
宇都宮二荒山神社の周辺には、参拝と合わせて楽しめるスポットが多数あります。
大鳥居から大通りの一本北にある宮島町通りは通称「餃子通り」と呼ばれ、数多くの餃子店が軒を連ねています。「宇都宮みんみん」をはじめとする人気店は行列必至ですが、複数店舗の餃子を一度に味わえる「来らっせ本店」(ドン・キホーテ地下)もあるため、時間がない方にもおすすめです。
また、神社東側のうつのみや表参道スクエア5階にある「うつのみや妖精ミュージアム」も立ち寄りスポットとして人気があります。参拝の前後に宇都宮グルメや観光を楽しめるのは、街の中心に鎮座するこの神社ならではの魅力です。
まとめ
宇都宮二荒山神社は、約1,600年の歴史をもつ下野国一之宮として、宇都宮市の中心に鎮座し続ける神社です。勝負事や開運のご利益で知られる御祭神・豊城入彦命に加え、12の末社では学問・安産・商売繁盛など多彩なご利益が得られます。
約43種類ものお守りや、黄ぶなモチーフの授与品、餃子おみくじなど、宇都宮らしさが感じられる授与品も充実しています。御朱印は通常のものと福の神御朱印のほか、季節ごとの特別御朱印も見逃せません。
JR宇都宮駅からバスで約5分、周辺には餃子通りをはじめとするグルメスポットも揃っているため、宇都宮観光の起点としても最適な場所です。お守りや御朱印の最新情報は変更される場合があるため、参拝前に公式サイトや公式SNSで確認しておくと安心です。
※本記事の情報は2026年4月時点の調査に基づいています。料金や授与品の内容、行事日程などは変更になる場合がありますので、最新情報は宇都宮二荒山神社の公式サイトまたは電話(028-622-5271)にてご確認ください。